お題1.特大水冷ペルチェ実験(05年初頭)



きむちさんに製作していただいた、特大水枕です。
市販水枕のSlitEdgeをモデルにして、大型化した構造になってます。
非常に美しく仕上げてあり、ガラスに張り付くくらい平面精度も良いです。







今回使用した62mm角266W特大ペルチェです。サロンパスみたいと言われてます(笑)
隣に並んでいるのが40mm角170Wですけど、二回りでかいですね〜



モデルにしたSlitEdgeと並べてみました。でかい…





きむちさん特製3点セット。水枕、バッファ板(62mm角×10mm)、バックプレート



ペルチェとバッファ板はぴったりサイズです。



水冷ペルチェシステム全景です。台所の窓際に設置しており、軽自動車用ラジエータが窓の外に設置してあります(笑)
ポンプは右下に写っている緑色のイワキMD30-RZ-Nで、配管はすべて15mmホース(フツーの水まきホース)。



マザーに載せたところです。運転中は下のようにエアコン用パテで断熱してあります。
マザー EPoX EP-9NDA3+ (Rev1.0)
メモリ SanMax/Hynix BT-D43 1GB×2枚
HDD Maxtor Diamond Max PLUS9 80GB×2 Syba製S-ATAアダプタ接続 (NV-RAID)
CPUやバッファにはグリスを塗っていません。パテで囲って堤防にして、内部はイナートリキッド(フロリナートの類似品)で満たしてあります。グリスと違って粘度が低いので脱着も楽ですし、空気を完全遮断しているので結露の心配も少ないです。







 この実験を思いついたのは、04年秋の事でした。たまたまアキバの秋月電子さんで62mm角特大ペルチェを見つけたので、これを使えば1枚で昔の並列ペルチェと同等以上の能力が出せるのではないか? と考えました。特大ペルチェに特大水枕を組み合わせれば、今時の100WオーバーなCPUでも冷やせるのではないか?という妄想(^_^;です。

 極限オーバークロックを狙うなら、ドライアイスとか液体窒素を使った冷却手法が手っ取り早いと判っていましたが、これらの手法は短時間しか遊べないのであまり興味がありませんでした。自分としては、長距離ベンチマーク(π計算で有名な近藤氏のPifast)に挑戦したかったので、なんとか特大水冷ペルチェを実現できないか模索してみました。

 まずは市販水枕を片っ端から調べてみましたが、62mm角サイズの水枕は一つもありませんでした。HDD用水枕ならありましたが、あまり冷却効率が良さそうではなかったし、大きすぎて装着困難だから却下。
 次に考えたのは、市販水枕SlitEdgeのトッププレートのリテンションネジ穴部分を削って2個並べる方法でしたが、04年秋時点で既にSlitEdgeは販売終了で入手できませんでした。

 特大水枕を何とか確保しないと構想(妄想)は実現不能なので、PC水冷ショップの掲示板でお見かけした「銅の魔術師きむちさん」に図々しく相談してみました(^_^;
 なんと快く製作を引き受けて頂けて、04年12月に特大水枕を確保することができました。きむちさんに感謝致します。

 製作前のメールによる相談では、下記のような点を留意して設計・製作していただく事となりました。

1)62mm角ペルチェに合わせたサイズ。
2)AMD K7のソケットAおよびAMD64兼用で装着できるようにする。
3)ペルチェは62mm角266Wで、266W/38.4cm2=6.9W/cm2と非常に熱流束(面積当たりW密度)が小さいのが特徴で、W密度的にはCPUの1/10以下。
 ペルチェ発熱にCPU発熱分を加えても、水枕に対しては10W/cm2程度のW密度になるため、内部プレート形状はそれほど凝った細工は必要としない。市販水枕SlitEdgeを手本として内部はシンプルなスリット構造とし、20mm厚銅材をフライス加工して削り出す。また垂直方向の熱抵抗を下げるため、加工可能な範囲で底厚を薄くする。
4)製作を簡略化するため、トッププレートや配管パイプは半田接合とする。
5)水枕とセットで10mm厚バッファ板とバックプレートも製作する。
 バッファ版は小さなCPUコア(1cm2以下)と接する部分なので、横方向に効率良く熱拡散できるように10mm厚としました。これは、だんなさんのバッファ厚比較データを参考にさせていただきました。


 実際に運転したデータは下記の通りです。

軽自動車ラジエータを窓の外に設置し30cm扇風機で送風、大型ポンプで循環
外気温 5.2℃(夜間)
水温 10℃
バッファ板 -4.5℃
水枕周辺温度(室温) 12℃
ペルチェ電圧 9V

マザー EPoX EP-9NDA3+ (Rev1.0)
CPU AMD64 3500+ BIコア(勝銃) (定格200MHz×11時に1.40V、45.8Aで最大67.0W)

CPU設定
 Vcore 1.84V(テスタ実測)  Vcoreの二乗比 (1.84÷1.40)2=1.73倍
 クロック 250×10.5=2635MHz クロック比 2635÷2200=1.20倍
 推定W数 67×1.73×1.20=139W (@2635MHz)
 CPU温度 20℃(Pifast実行中の高負荷時、BIOSモニタ読)

 266W級の特大ペルチェでも、今のところ高負荷時にはCPUは20℃までしか冷やせてません。無負荷時ならバッファ単体は-20℃以下まで簡単に下がりますが、OCしたCPUは冷やしきれませんでした(^_^;
 使ったCPUの素性が悪いのが痛いですね。フツーの電圧(BIOS限界1.7V以下)ではSuperπ程度なら通りますが、負荷が重いPifastは目一杯Vcore上げないと通りません。コア電圧を上げると爆発的に発熱が上がるので、もっと低電圧で回せるアタリ石が欲しいです(^_^;

 上記OC設定におけるPifast10億桁の耐久ベンチ結果 3.46時間


 大雑把に言うと、推定139W負荷時に特大水冷ペルチェシステムではCPU温度=水温+10℃程度という結果が得られました。
 非常にアバウトな計算ですが、対水温での熱抵抗は
 10℃(水温との温度差)÷139W(W数)=0.072(W/℃)
 となりました。

 市販水枕の熱抵抗が0.12〜0.15程度、ヒートパイプ式空冷が0.15(爆音状態)〜0.2以上(静音時)と言われているので、いちおーペルチェの方が成績は良いようです。
 とは言え、極限OCを狙うならドライアイス等を使った方が成績は良いでしょう(^_^;


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